タワマン購入前に確認すべき水害リスク|湾岸エリア10年居住者の視点

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「タワマンは高い位置にあるから水害に強い」——そう思っている人は少なくないはずです。私もかつてはそう思っていました。2015年に晴海のタワマンを購入したとき、正直なところ水害リスクをそこまで真剣に調べていませんでした。

ところが、近年の都市型水害の頻発を目の当たりにして、考えが大きく変わりました。2019年の台風19号では、都内のタワマン地下設備が浸水して電気系統がダウン。エレベーターが止まり、高層階の住民が長期にわたって孤立するという事態が各地で起きました。あの報道を見て、「他人事ではないな」と背筋が寒くなった記憶があります。

今回は、湾岸エリアに10年以上住んで感じてきたリアルな感覚と、2025年に同エリアで買い替えた際に実際に確認したポイントを元に、タワマンと水害リスクの関係を丁寧に整理してお伝えします。これからタワマン購入を検討している方は、ぜひ最後まで読んでほしい内容です。

目次

タワマンは「水害に強い」という誤解

タワマンは高層階が多く、「浸水しても上に逃げられる」と思われがちです。確かに、居住スペース自体が浸水する可能性は、低層の一戸建てや低層マンションと比べると相対的に低いでしょう。

しかし、問題は建物の「設備」が地下や低層部に集中しているという点です。ここを見落とすと、タワマンの水害リスクの本質を理解したことにはなりません。

水害で最初にやられるのは「設備」

タワマンの電気室、受変電設備、非常用発電機、エレベーター機械室——これらの多くは地下や1〜2階に設置されています。浸水によってこれらがダメージを受けると、建物全体の機能が停止します。

  • エレベーターが動かず、高層階への移動が事実上不可能になる
  • 電気が止まり、共用部の照明・オートロック・セキュリティが機能しない
  • 加圧ポンプが止まり、上層階への給水が断絶する
  • 暖房・空調・床暖房が使えなくなる
  • 地下駐車場に止めていた車が水没する

2019年の台風19号で武蔵小杉のタワマンが被害を受けた際、まさにこのシナリオが現実になりました。居住スペース自体は浸水しなかったにもかかわらず、設備の損傷により数週間にわたって生活機能が失われたのです。トイレも使えない状態が続き、住民が仮設のトイレに並ぶ光景は当時大きなニュースになりました。

「高い場所に建っている」はリスクゼロを意味しない

タワマンは高層であっても、建物全体が浸水リスクのある場所に建っていることは珍しくありません。湾岸エリア・河川沿い・埋立地・低海抜地帯などは特に注意が必要です。

私が住む晴海エリアも、海抜は概ね1〜3m程度と低く、ハザードマップ上では浸水リスクが表示されているエリアです。購入後に改めて確認したとき、「もっと早く調べておけばよかった」と感じたのが正直なところです。

ハザードマップの正しい読み方

水害リスクを確認する最初のステップはハザードマップの確認です。国土交通省が提供する「ハザードマップポータルサイト」では、全国の浸水想定区域を無料で確認できます。ただし、ハザードマップには複数の種類があり、それぞれ異なるリスクを示しています。1種類だけ確認して安心してしまうのは危険です。

必ず確認すべき3種類のリスク

① 洪水浸水想定区域

河川が氾濫した場合の浸水範囲と浸水深を示します。対象となる河川の規模によって「計画規模」と「想定最大規模」の2種類があります。必ず「想定最大規模」で確認することをお勧めします。「計画規模なら大丈夫」という判断は、近年の異常気象を考えると甘いと言わざるを得ません。

② 内水浸水想定区域

下水道の排水能力を超えた雨水が地表に溢れる「内水氾濫」のリスクを示します。河川から離れていても、都市部では集中豪雨時に下水が処理しきれずに道路が冠水するケースがあります。意外に見落とされがちなリスクで、「洪水ハザードマップは確認したが内水は見ていなかった」という方が多いです。

③ 高潮浸水想定区域

台風などによる高潮で海水が陸に浸入するリスクを示します。湾岸エリアのタワマンを検討している方は、このマップを特に念入りに確認してください。晴海のような東京湾岸の埋立地エリアは、高潮リスクが洪水リスクと同程度か、場合によってはそれ以上に重要な指標になります。

浸水深の目安を理解する

ハザードマップでは「浸水深」が色分けで示されています。主な目安は以下の通りです。数字を見るだけでなく、「実際の生活」に置き換えてイメージすることが大切です。

浸水深 状況のイメージ タワマンへの影響
0.5m未満 膝下程度。歩行が困難になり始める 地下設備に影響が出る可能性
0.5〜1.0m 大人の腰〜胸まで。自動車も水没 地下設備・駐車場が水没
1.0〜2.0m 1階が完全水没 1階エントランス・設備室壊滅的な被害
2.0〜5.0m 2階まで水没 建物への甚大なダメージ
5.0m以上 2階超の浸水 命の危険・建物の存続が問われる

タワマンの設備室が地下にある場合、わずか0.5〜1.0mの浸水でも設備への影響が生じる可能性があります。「少し色がついているだけだから大丈夫」という過信は禁物です。

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湾岸タワマン居住者が感じた水害リスクのリアル

ここからは、私自身が晴海エリアに10年以上住んで感じてきたことをお伝えします。データだけでは伝わらない、生活者としてのリアルな実感です。

購入時は「まあ大丈夫だろう」と思っていた

2015年に晴海で70㎡のタワマンを購入した当時、私は正直なところ水害リスクをほとんど意識していませんでした。営業担当者から「免震構造で安心ですよ」という説明を受け、それで納得してしまっていたのです。

免震・制震は地震対策の話であって、水害とは全く別の話です。今思えば、自分が知識不足だったと反省しています。

2019年の台風19号が意識を変えた

2019年の台風19号は、私の水害リスクに対する意識を大きく変えるきっかけになりました。武蔵小杉のタワマンが被災した映像を見て、「晴海でも同じことが起きる可能性はゼロではない」と初めて真剣に考えたのです。

その後、改めて晴海エリアのハザードマップを確認しました。高潮浸水想定区域として色がついているエリアもあることを知り、正直「もっと早く調べておくべきだった」と思いました。

管理組合が積極的に動いてくれた

私のマンションでは、2019年以降に管理組合が水害対策を本格的に検討・実施しました。具体的には、エントランスへの防水板(止水板)の設置や、地下設備室への浸水防止対策の強化などです。こうした動きはマンションによって大きく差があります。

管理組合が積極的に対応してくれたことで、私は安心感を得ると同時に「こういう管理体制かどうかは、購入前に絶対確認すべきポイントだ」と強く実感しました。

2025年の買い替え時は徹底的に確認した

2025年に同じエリアの90㎡に買い替えた際は、2015年の購入とは比べ物にならないほど詳細に水害対策を確認しました。不動産会社の営業担当者だけでなく、管理組合に直接問い合わせて以下のことを確認しています。

  • 電気室・受変電設備の設置階と防水対策の有無
  • 止水板の設置状況と作動方式(自動作動型か手動型か)
  • 非常用発電機の燃料備蓄量と連続稼働可能時間
  • エレベーター機械室の設置位置と防水対策
  • 地下駐車場の排水ポンプ容量と過去の浸水実績
  • 過去3年間の理事会議事録における水害対策の議論の有無

これらは通常の内覧では確認できない部分ばかりです。でも、数千万〜1億円を超える買い物をするわけですから、これくらいの確認は当然だと今は思っています。

購入前に必ず確認すべき6つのチェックポイント

水害リスクの観点から、タワマン購入前に確認すべきポイントを6つにまとめます。物件見学のときにこのリストを持って行ってみてください。

①ハザードマップ3種類をすべて確認する

前述の通り、洪水・内水・高潮の3種類をすべて確認してください。国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」で無料で確認できます。「洪水は大丈夫だけど高潮リスクが高い」というケースも十分あります。特に湾岸エリア・河川沿い・低地にあるタワマンは念入りに確認しましょう。

②電気設備の設置階を確認する

電気室や受変電設備が地下にある場合、浸水した際のリスクが高まります。営業担当者に「電気室はどの階にありますか?浸水対策はされていますか?」と直接聞いてみましょう。最近建設されたタワマンでは、これらを2階以上に移設する「高置化」が進んでいます。特に中古物件では、この点が大きな差別化ポイントになります。

③止水板・防水扉の設置状況を確認する

エントランスや駐車場入口への止水板設置は、水害対策の基本中の基本です。自動作動型か手動型かによっても実際の対応力が変わります。自動型は人的対応が不要なため確実性が高く、防災意識の高い管理組合ほど自動型を導入しています。管理会社への問い合わせや、共用部の写真で確認できます。

④地下駐車場のリスクを把握する

地下駐車場がある物件は、浸水時に車が水没するリスクがあります。また、地下駐車場への浸水が建物設備にも影響するケースがあります。排水ポンプの容量、過去の浸水実績、駐車場入口の防水板設置状況などを確認しましょう。

⑤管理組合の水害対策への取り組みを調べる

理事会の議事録(過去2〜3年分)を確認すると、管理組合が水害対策にどれだけ積極的かがよく分かります。止水板の導入検討、ハザードマップの住民への共有、避難訓練の実施などが記録されているかチェックしましょう。管理組合の積極性は、長期にわたる建物価値の維持にも直結します。

⑥水災補償付きの火災保険を選ぶ

マンション購入時に加入する火災保険には、「水災補償」を必ず付けることをお勧めします。ただし、水災補償には「時価払い」と「新価払い(再調達価額払い)」の違いがあり、補償内容も保険会社によって大きく異なります。湾岸エリアや河川沿いの物件では、この補償が特に重要な意味を持ちます。保険料を節約するために水災補償を外すのは、リスクの高い選択です。

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水害対策に強いタワマンの見分け方

物件選びの段階で、水害対策の充実度を見分けるためのポイントを紹介します。

電気設備の「高置化」が進んでいるか

2019年の武蔵小杉の事例が業界に大きな影響を与え、新築物件では電気室・受変電設備を2階以上に設置する「高置化」が標準化しつつあります。中古物件を選ぶ際は、築年数とともにこの点を確認することが重要です。「高置化されている物件」は、水害対策の面で明らかに優位に立っています。

非常用電源の充実度を確認する

停電時に稼働する非常用発電機の燃料備蓄量と稼働時間も、生活継続の観点から重要です。72時間(3日間)以上の稼働が可能かどうかが一つの目安になります。これは行政のBCP(事業継続計画)ガイドラインでも推奨されている水準です。

過去の被災実績を調べる

物件の所在地周辺で過去に浸水被害があったかどうかを調べることも有効です。自治体のウェブサイト、国土交通省の「浸水被害状況図」、地元の図書館に置かれている旧地形図なども参考になります。

旧地形図では、現在は宅地化された土地がかつて川だったり低湿地だったりすることが分かる場合があります。埋立地や水田地帯だった場所は、地盤の液状化リスクも含めて注意が必要です。

水害リスクとリセールバリューの関係

水害リスクは、購入時の安全性だけでなく、将来的なリセールバリューにも大きな影響を与えます。この点は、タワマンを資産として考えている方にとって特に重要です。

水害後の資産価値下落リスク

一度水害を受けたマンションは、物理的な修復が完了しても、心理的嫌悪感に準じた評価下落によって資産価値が落ちることがあります。2019年の武蔵小杉の事例では、一部の物件で実際の取引価格への影響も報告されました。

修繕積立金だけでは賄えない大規模修繕が必要になるケースもあり、住民全員で多額の費用を負担しなければならない事態も起こりえます。

ハザードマップ情報の開示義務化

2020年8月から、不動産取引においてハザードマップ上の物件の位置を購入者に説明することが義務化されました。これにより購入者のリスク認識が高まり、水害リスクの高いエリアの物件は相対的に売却しにくくなる可能性があります。

逆に言えば、水害対策が充実しているタワマンは、そうでない物件との大きな差別化要因になり得ます。購入する際の評価基準として、将来の売却時にもプラスに働く可能性が高いのです。

気候変動リスクが不動産評価に織り込まれ始めている

海外では「気候変動リスク」が不動産評価に織り込まれ始めており、日本でも同様のトレンドが広がると見られています。機関投資家や外資系企業に勤めるビジネスパーソンを中心に、こうした視点を持ってタワマンを選ぶケースが増えています。10〜20年後の売却を見据えるなら、今から水害リスクを意識した物件選びをしておくことが、将来の資産価値保全につながります。

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まとめ:リスクを知ったうえで賢くタワマンを選ぶ

タワマンと水害リスクについて、湾岸エリアに10年以上住んできた私の視点でお伝えしてきました。

繰り返しになりますが、重要なのは「リスクを知らずに購入すること」を避けることです。リスクを理解した上で購入するのであれば、それは納得のいく意思決定です。湾岸エリアに住んでいる私自身も、リスクを承知した上でこのエリアを選び、買い替えまでしています。それが正しい選択だったと今も思っています。

購入前の水害リスク確認チェックリスト

  • ✅ ハザードマップ(洪水・内水・高潮)を3種類すべて「想定最大規模」で確認した
  • ✅ 電気室・受変電設備の設置階と防水対策を確認した
  • ✅ 止水板の設置状況(自動/手動)と設置箇所を確認した
  • ✅ 非常用発電機の燃料備蓄量と稼働可能時間を確認した
  • ✅ 地下駐車場の排水設備と過去の浸水実績を確認した
  • ✅ 管理組合の水害対策取り組みを議事録で確認した
  • ✅ 火災保険の水災補償(新価払い)を確認した
  • ✅ 旧地形図や周辺の浸水被害実績を調べた

これらを一つひとつ確認することで、水害リスクへの理解が格段に深まります。不動産会社の営業担当者への質問を恐れないでください。こうした具体的な質問ができる購入者は、担当者にも「本気で検討している」と受け取られ、より丁寧で詳細な情報を引き出せるものです。

タワマンは人生最大の買い物のひとつです。後悔しない選択のために、水害リスクもしっかり向き合ってみてください。私自身の経験が、少しでもあなたの参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

2015年に新築で晴海のタワーマンションを5,500万円で購入し、2025年に1.4億円で売却(売却益+8,500万円)。現在は都内の中古タワマンに住み替え、資産性の高い物件選びと住宅ローン戦略を実践中。「住みながら資産を増やす」をテーマに、後悔しないタワマン購入術や、管理組合・修繕積立金の実情など、タワマン住人ならではのリアルな情報を発信しています。

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