タワマン相続の落とし穴|評価額と節税対策

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「タワマンは相続税の節税になる」——そんな話を聞いたことがある人は多いはずだ。実際、2024年の税制改正が入るまでは、市場価格と相続税評価額の乖離を利用した”タワマン節税”が横行していた。

私が晴海のタワマンを購入したのは2015年。当時5,500万円で買った部屋が今や1.4億円を超えている。資産価値が上がったのはうれしいことだが、それはそのまま「相続時の税負担」にも直結する、ということを最近になって真剣に考えるようになった。2025年には同じエリアで90㎡の部屋に住み替えたこともあり、いよいよ相続設計から目を背けられなくなってきた。

この記事では、タワマンオーナーが相続に際して直面しやすい落とし穴と、2024年の税制改正後における現実的な節税戦略を、できるだけ平易な言葉で整理する。相続を受ける側としても、将来渡す側としても、知っておいて損はない内容だ。

目次

タワマンの相続税評価額はなぜ「市場価格と乖離」していたのか

まず、大前提として相続税における不動産評価の仕組みを押さえておきたい。

土地は「路線価」(国税庁が公表する地価の約80%水準)で評価され、建物は「固定資産税評価額」(建築費の約60〜70%水準)で評価される。つまり、どんな不動産でも相続税上の評価額は市場価格より低くなる——これが基本的な構造だ。

タワマン特有の問題:高層階ほど乖離が大きかった

タワマンの場合、この乖離がさらに大きく生じていた。理由は、区分所有建物の評価は「一棟全体の評価額を持分割合で按分する」という計算方式を取っているためだ。

30階建ての建物があるとして、1階も30階も「建物全体の評価額 × 持分割合(=床面積比率)」で評価額が決まる。ところが市場では、眺望プレミアムが乗る高層階の方が低層階より価格が高い。結果として、30階の住戸は「市場価格は高いのに、相続税評価額は低層階とほぼ同じ」という状態が生まれる。

具体的な数字でいうと、改正前は市場価格1億円のタワマン高層階が相続税評価額2,000〜3,000万円程度に収まるケースも珍しくなかった。資産家がこれを利用して「現金を減らし、タワマンを買う」という節税策を取り、国税庁から問題視されていたのがいわゆる「タワマン節税」問題だ。

なぜ「タワマン節税」が問題視されたか

相続直前にタワマンを購入し、相続後すぐに売却するという行為が社会問題化した。2022年には最高裁判所が、節税目的のタワマン購入について「著しく不適切」として国税庁の主張を支持する判決を下している。このような背景が2024年改正の直接的な引き金となった。

改正前に「タワマン節税パッケージ」として金融機関や不動産会社が提案していたスキームは、現在ではほぼ機能しない。旧制度を前提に保有してきたオーナーは、評価の前提を根本から見直す必要がある。

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2024年税制改正で何が変わったか

2024年1月1日以降に開始する相続・贈与から、区分所有マンションの評価方法が見直された。改正の核心は「市場価格との乖離率を補正係数として評価額に反映させる」という点にある。

改正の仕組み:「区分所有補正率」の導入

新評価方式では、以下の要素を組み合わせた「区分所有補正率」が計算される:

  • 築年数:新しいほど評価が上がる
  • 総階数:棟全体が高いほど補正が大きくなる
  • 所在階:高層階ほど補正が上乗せされる
  • 敷地持分狭小度:敷地面積に対する持分が少ないほど補正が増す

これらの要素から算出された補正率を従来の評価額に掛け合わせることで、「理論的な市場価格との乖離」を縮小する仕組みだ。国税庁の試算によると、改正後の評価額は市場価格の約60〜70%水準になるとされている(改正前は高層階で20〜30%水準になることもあった)。

実際の影響シミュレーション

仮に市場価格1億5,000万円の晴海タワマン(25階、築10年)を相続するとする。

項目 改正前 改正後(概算)
相続税評価額 約3,500万円 約9,500万円
基礎控除後の課税対象(単独相続の場合) 約0円(控除内) 約6,500万円
相続税額(概算) 0円 約1,000〜1,200万円

この変化は非常に大きい。旧制度を前提に相続対策を立てていた人は、いまからシミュレーションを見直す必要がある。

改正の影響を受けやすいケース・受けにくいケース

補正率の計算方式から、以下のような傾向がある:

  • 影響大:築年数が浅い・総階数が多い・高層階・都心立地(敷地持分狭小)
  • 影響小:築古・低層タワー(20階未満)・低層階・郊外エリア

晴海をはじめとする湾岸エリアのタワマンはほぼ全て「影響大」のカテゴリに入る。2015年以降に竣工した物件はとくに評価額の上昇幅が大きく、旧来の想定で相続設計を組んでいた人は要注意だ。

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タワマン相続でよくあるトラブル3選

1. 「現金がなくて相続税が払えない」問題

不動産は分割しにくい。1億円の部屋を3人の子どもで相続するとなれば、現金での分割は困難だ。「長男が相続するが、代償金を支払う現金がない」という状況が生まれやすい。

対策としては、生命保険(死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」まで非課税)を活用して納税資金や代償資金を確保しておくことが基本だ。また、相続開始後3年以内に売却すると「取得費加算の特例」が使える場合があるため、相続後の売却もひとつの選択肢として持っておきたい。

2. 管理費・修繕積立金の滞納リスク

タワマンは月々の管理費・修繕積立金が高額になりやすい。私の部屋でも合計で月6〜7万円かかっている。相続後に住む予定がなく、売却にも時間がかかる場合、空室のまま毎月数万円の固定費が発生し続ける。

さらに、修繕積立金の滞納は購入者にも引き継がれる(区分所有法8条)。売却時の障害になりうるため、相続した住戸の管理費状況は早期に確認すること。

3. 相続人間での「価値認識の違い」

タワマンを知らない兄弟姉妹にとって、「なぜこの部屋が1.4億なのか」は感覚的に理解しにくい。眺望や立地ブランドのプレミアムが反映された価格であり、遺産分割協議で揉めやすい。

生前に不動産鑑定士による評価書を取得しておくこと、または売却を前提にした遺言を書いておくことで、争いを防げる。

タワマンオーナーが使える相続対策

小規模宅地等の特例(最大80%評価減)

被相続人が居住していたマンションを、配偶者または同居していた子どもが相続する場合、敷地持分の評価額を最大80%減額できる「小規模宅地等の特例(特定居住用宅地等)」が使える。

適用上限は330㎡(持分に換算)。タワマンの敷地持分は小さくなりやすいため上限に引っかかることは少ないが、要件を満たすかどうかの確認は必須だ。同居・家なき子・別居配偶者など、相続人の状況によって要件が変わるため、税理士への相談を強く推奨する。

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配偶者の税額軽減

配偶者が相続する場合、法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい方まで相続税がかからない。タワマン1室を配偶者が全て相続するケースでは、これだけで相続税ゼロになることも多い。

ただし、この特例は「二次相続(配偶者が亡くなったとき)」を重くする側面がある。配偶者に集中させすぎると、子どもへの相続時に税負担が跳ね上がるリスクがある。一次・二次相続を一体で試算することが重要だ。

生前贈与の活用(2024年改正に注意)

2024年以降、生前贈与の相続加算期間が「3年」から「7年」に延長された(段階的移行)。早めに動かないと贈与が相続財産に戻ってしまうリスクがある。

タワマンそのものを贈与するケースは不動産取得税・登録免許税がかかるため、現金での贈与と組み合わせる戦略が現実的だ。年間110万円の暦年贈与を10〜15年継続するなど、長期視点で計画することが求められる。

売却 vs 保有の判断基準

相続したタワマンを売るか持ち続けるかは、以下の観点で判断したい:

  • 売却派が有利:相続後3年以内であれば取得費加算特例が使え、譲渡税を圧縮できる。管理コストが重荷になる場合も早期売却が得策。
  • 保有派が有利:エリアの地価上昇が見込める場合や、賃貸に出すことで安定収入が得られる場合。ただし空室リスクと管理負担は現実的に試算すること。

私自身は、現在の晴海物件を「自分が住み続ける」前提で持っているが、将来の相続を見据えて生命保険による納税資金の確保と、法定相続人への定期的な意思共有を始めている。

相続対策を始めるタイミングと専門家の選び方

🔍 相続対策を始めるタイミングと専門家の選び方のポイント比較

メリット

  • 不動産相続の実績があるか:一般的な税理士は相続案件が年に数件というケースもある。不動産評価・特例適用に精通した税理士を選ぶこと。
  • 一次・二次相続を一体で試算してくれるか:配偶者への集中相続が二次相続で裏目に出るリスクを把握しているかを確認する。
  • 固定報酬か成功報酬かを確認する:「節税額の◯%」というフィー体系の場合、過度な節税策を勧めてくる可能性がある。報酬体系は事前に明確にしておくこと。

デメリット

  • 現状の財産評価額を把握する:タワマンの現在の相続税評価額(区分所有補正率適用後)を税理士または不動産鑑定士に試算してもらう。
  • 法定相続人・相続財産の全体像を整理する:タワマン以外の預金・株式・保険なども含め、課税財産の総額を把握する。

「億超え前」から動くべき理由

よくある誤解は「相続対策は財産が大きい人がするもの」という思い込みだ。しかしタワマンを1室保有しているだけで、都心・湾岸エリアなら評価額が1億円を超えるケースは今や珍しくない。

相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」だ。法定相続人が配偶者と子ども2人の場合、4,800万円を超える財産に課税が生じる。タワマン1室だけで軽く超えてしまう水準だ。早期に動き始めることで、生前贈与・保険活用・遺言整備などの選択肢が増える。

税理士を選ぶ際の3つのポイント

  • 不動産相続の実績があるか:一般的な税理士は相続案件が年に数件というケースもある。不動産評価・特例適用に精通した税理士を選ぶこと。
  • 一次・二次相続を一体で試算してくれるか:配偶者への集中相続が二次相続で裏目に出るリスクを把握しているかを確認する。
  • 固定報酬か成功報酬かを確認する:「節税額の◯%」というフィー体系の場合、過度な節税策を勧めてくる可能性がある。報酬体系は事前に明確にしておくこと。

最初にやるべき3ステップ

  1. 現状の財産評価額を把握する:タワマンの現在の相続税評価額(区分所有補正率適用後)を税理士または不動産鑑定士に試算してもらう。
  2. 法定相続人・相続財産の全体像を整理する:タワマン以外の預金・株式・保険なども含め、課税財産の総額を把握する。
  3. 納税資金の確保策を検討する:生命保険の非課税枠(500万円×相続人数)を活用した死亡保険金の準備は、最も即効性の高い対策のひとつだ。

よくある質問(FAQ)

Q. 相続したタワマンを賃貸に出すと評価額は下がりますか?

貸家の場合、建物評価額から借家権割合(通常30%)を差し引いた金額が評価額となる。また土地(敷地利用権)も「貸家建付地」として評価減が適用される。ただし区分所有マンションの敷地持分は小さいため、評価減の絶対額はそれほど大きくならないケースが多い。賃貸化は相続税対策というより、空室コスト回避・収入確保として検討するのが現実的だ。

Q. 相続税の申告期限はいつですか?

相続開始を知った日(通常は被相続人の死亡日)の翌日から10ヶ月以内が申告・納付期限だ。この期限内に遺産分割が整わない場合、法定相続分で分割したと仮定して申告する必要がある。タワマンは遺産分割協議が長引きやすいため、早期に専門家を入れることが重要だ。

Q. 相続放棄を選ぶべきケースはありますか?

タワマンに多額のローン残債がある場合や、管理費滞納が積み重なっている場合は、相続放棄を検討することも選択肢に入る。ただし相続放棄は「全財産の放棄」であり、プラスの財産も含めて放棄することになる。プラスとマイナスを正確に把握した上で判断すること。放棄の期限は相続開始を知った日から3ヶ月以内だ。

Q. 2024年改正は「相続」だけでなく「贈与」にも適用されますか?

はい。2024年1月1日以降に開始する「相続」だけでなく「贈与」にも新評価方式が適用される。タワマンを生前贈与する場合も、区分所有補正率が適用された評価額が贈与税の課税ベースとなる。不動産取得税・登録免許税も別途かかるため、贈与よりも現金での資産移転の方がコスト的に有利なケースが多い。

編集長ノート:「1.4億円の部屋」が教えてくれたこと

2015年に5,500万円で買った部屋が1.4億円を超えた今、私が考えるのは「資産価値の上昇は、相続税という形で跳ね返ってくる」ということだ。

当時は「節税できるから」なんて計算は一切していなかった。ただ晴海が好きで、海が見えて、子どもを育てやすそうで、買った。でも10年が経ち、資産が膨らんだことで、次の世代への「渡し方」を真剣に考えるフェーズに入った。2025年に同じエリアで90㎡の部屋に住み替えたことで、保有する不動産の評価額合計がさらに増え、相続設計の優先度はいっそう高くなっている。

タワマンは流動性が高く売りやすい資産ではある。だが分割しにくく、管理コストが高く、相続に際しては専門家なしには対処できない複雑さがある。「買う」ことと同じくらい「渡す」ことを考えて所有することが、タワマンオーナーの責任だと思っている。

まずは現状の評価額を把握することから始めよう。税理士への相談は「億を超えたら」ではなく、「5,000万を超えたら」が目安だ。

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まとめ

  • タワマンの相続税評価額は2024年改正で市場価格の60〜70%水準に引き上げられた。旧来の「節税パッケージ」は使えない
  • 湾岸・都心エリアのタワマンは「影響大」のカテゴリに入り、評価額の上昇幅が特に大きい
  • 相続トラブルの多くは「現金不足」「管理費の引き継ぎ」「相続人間の認識ズレ」が原因
  • 小規模宅地等の特例・配偶者控除・生前贈与を組み合わせた長期戦略が有効
  • 一次相続と二次相続を必ずセットで試算すること
  • 相続対策の相談は「億超え前」から税理士に依頼するのが正解
  • まず①評価額の把握 ②財産全体の整理 ③納税資金の確保 の3ステップで動き始めること

タワマンの価値が上がれば上がるほど、相続の設計も精緻にしていく必要がある。資産を守り、次の世代に渡すための準備を、今日から始めてほしい。

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この記事を書いた人

2015年に新築で晴海のタワーマンションを5,500万円で購入し、2025年に1.4億円で売却(売却益+8,500万円)。現在は都内の中古タワマンに住み替え、資産性の高い物件選びと住宅ローン戦略を実践中。「住みながら資産を増やす」をテーマに、後悔しないタワマン購入術や、管理組合・修繕積立金の実情など、タワマン住人ならではのリアルな情報を発信しています。

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