エレベーターで選ぶタワマン──湾岸20物件 最速選手権&都心ハイクラス徹底比較

タワーマンションを検討するとき、多くの方が間取り・眺望・坪単価を真っ先に調べます。しかし、毎日何度も使うエレベーターの速度を確認している方は、意外と少ないのではないでしょうか。

エレベーターの速度は、生活の快適性に直結します。たとえば同じ50階建てのマンションでも、エレベーター最高速度が分速150mの場合と分速240mの場合とでは、最上階から1階まで純粋な移動距離(約175m)だけで計算しても、前者は約70秒、後者は約44秒かかります。差は26秒。「たった26秒」と思うかもしれませんが、毎朝の出勤前、エントランスで他の住民と乗り合わせれば数回の往復を待つことになります。ラッシュ時に10分近く待つという証言が出てくるのは、速度と基数の両方が不足しているケースです。

では「湾岸タワマンはエレベーターが遅い」という通説は、データとして正しいのでしょうか。以下のランキングを見れば、その答えが見えてきます。

目次

湾岸タワマン エレベーター最速ランキング

現在把握できている湾岸エリア主要タワーマンション20物件を、最高速度の高い順に並べました。複数グループが設置されている場合は最高速のグループを基準としています。

順位 物件名 エリア 最高速度 階数 竣工年
1 セントラルガーデン月島 ザ タワー 月島 300 m/min 48F 2028予定
2 シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン 豊洲 240 m/min 49F 2009
2 ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンス 晴海 240 m/min 49F 2013
2 ザ・パークハウス 晴海タワーズ ティアロレジデンス 晴海 240 m/min 49F 2016
2 ドゥ・トゥール 晴海 240 m/min 52F 2015
2 HARUMI FLAG SKY DUO 晴海 240 m/min 48F 2025
7 勝どき ザ・タワー 勝どき 210 m/min 53F 2016
7 パークタワー勝どきサウス 勝どき 210 m/min 45F 2024
7 ブランズタワー豊洲 豊洲 210 m/min 48F 2021
7 スカイズ タワー&ガーデン 豊洲 210 m/min 44F 2014
7 パークタワー東雲 東雲 210 m/min 43F 2014
7 芝浦アイランド グローヴタワー 芝浦 210 m/min 49F 2007
7 グランドシティタワー月島 月島 210 m/min 58F 2025
14 パークタワー勝どきミッド 勝どき 180 m/min 45F 2024
14 パークタワー晴海 晴海 180 m/min 48F 2019
14 ザ・トーキョータワーズ 勝どき 180 m/min 58F 2008
14 シティタワーズ東京ベイ 有明 180 m/min 33F 2019
18 ブリリアマーレ有明 有明 150 m/min 33F 2008
18 ザ 豊海タワー マリン&スカイ 豊海 150 m/min 53F 2025
20 ブリリア有明スカイタワー 有明 未確認 33F 2011

都心ハイクラス分譲マンション EV速度一覧

比較対象として、都心の高級タワーマンションのデータも示します。「湾岸は遅い」という印象を持たれがちですが、都心物件も決して一律に高速というわけではありません。

物件名 エリア 最高速度 階数 竣工年 備考
虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワー 虎ノ門 360 m/min 54F 2022 スカイスイート専用。一般住戸は180 m/min
麻布台ヒルズ レジデンスB 麻布台 300 m/min 64F 2023 13人乗6基。他に180 m/min×6基
パークコート赤坂檜町 ザ タワー 赤坂 240 m/min 44F 2018 高層用2基。低層用2基は210 m/min
パークコート麻布十番 ザ タワー 麻布十番 240 m/min 36F 2023
白金ザ・スカイ 白金 240 m/min 45F 2023
パークコート文京小石川 ザ タワー 文京 240 m/min 40F 2021
赤坂タワーレジデンス Top of the Hill 赤坂 210 m/min 45F 2008 高層用3基。低層用3基は150 m/min
ワテラスタワーレジデンス 御茶ノ水 180 m/min 41F 2013 11人乗3基(住戸333戸)
六本木ヒルズレジデンス 六本木 未確認 43F 2003 4棟合計32基、速度非公開
麻布台ヒルズ レジデンスA 麻布台 未確認 54F 2023 住宅用8基、速度情報なし

データが語る、湾岸タワマンの実力

ランキングを眺めると、いくつかの重要な事実が浮かび上がります。

まず注目すべきは、ランキング1位のセントラルガーデン月島 ザ タワー(300 m/min)についてです。この速度は、坪1億円超えの超高級物件である麻布台ヒルズ レジデンスBの一般住戸エレベーター(300 m/min)と同速です。1階床からの揚程を約168m(48階×3.5m換算)として計算すると、最上階から1階までの純移動時間は約34秒。実際にはドア開閉や加速・減速時間が加わりますが、それでも概ね1分以内での到着が期待できます。744戸という規模を考えれば、エレベーター速度の面では最高クラスの設計と言えるでしょう。

次に、湾岸の240 m/min物件群の充実ぶりです。ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンス、同ティアロレジデンス、シティタワーズ豊洲 ザ・ツイン、ドゥ・トゥール、HARUMI FLAG SKY DUO──これら5物件は、都心の高級マンションとして名高いパークコート赤坂檜町 ザ タワー(高層用)やパークコート文京小石川 ザ タワーと完全に同等の速度を誇ります。坪単価が都心物件の半値以下であることを考えると、エレベーター性能という切り口においては、湾岸タワマンは都心と互角以上といっても過言ではありません。

「晴海三兄弟」と呼ばれることもある、晴海に集中するタワーマンション群の速度差も興味深い点です。ザ・パークハウス 晴海タワーズ クロノレジデンスおよびティアロレジデンスは240 m/minですが、後発のパークタワー晴海は180 m/minです。最上階(48〜49階)からの移動距離を約168mとして計算すると、240 m/minでは約42秒、180 m/minでは約56秒となり、最上階からの所要時間には約25秒の差が生じます。毎朝の通勤で積み重なれば無視できない差です。同じ晴海エリアでもエレベーター仕様は一律でなく、竣工年と価格帯によって明確な差異があります。

同じデベロッパーが手がけた隣接物件でも差が出るのが、パークタワー勝どきサウス(210 m/min)とパークタワー勝どきミッド(180 m/min)の関係です。30 m/minの差は一見わずかに見えますが、45階まで約160mの距離で計算すると移動時間に約9秒の開きがあります。両物件の分譲価格差を踏まえれば、サウスの上位設定はエレベーター性能にも反映されているといえます。

都心最高峰の印象がある虎ノ門ヒルズ レジデンシャルタワーについても、実態をよく見ておく必要があります。360 m/minという驚異的な速度はスカイスイートと呼ばれる上層の特別住戸専用であり、一般住戸に割り当てられたエレベーターは180 m/minです。つまり、一般住戸の居住者にとってのエレベーター速度は、湾岸の中位物件──パークタワー晴海やザ・トーキョータワーズ──と変わりありません。物件のブランドイメージと居住者が実際に使うエレベーターの仕様は別物であり、購入前に「どのエレベーターが自分の住戸に対応するか」を確認することが不可欠です。

最後に、ザ 豊海タワー マリン&スカイ(150 m/min)について触れておきます。東西2棟・53階建て・2,046戸という湾岸最大規模の物件でありながら、最高速度は150 m/minと湾岸ランキングの下位に位置します。最上階から1階まで約186mを分速150mで移動すると純移動だけで約74秒、ドア操作等を含めると1分30秒以上かかる計算です。2,046戸の住民が朝のラッシュ時に集中すれば、エレベーター待ちのストレスは相当なものになる可能性があります。この点は、第4期以降の購入を検討している方が必ず把握しておくべき事実です。

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エレベーター速度から見える「本当のコスパ」

本記事のデータを総合すると、「湾岸タワマンのエレベーターは遅い」という通説は、少なくとも現在の主要物件には当てはまらないことがわかります。240 m/min以上の物件が6棟、210 m/min以上まで広げると13棟が該当し、都心ハイクラスと比較しても遜色のない水準に達しています。

坪単価との対比で考えると、湾岸タワマンはエレベーター速度という性能指標において、都心物件よりもコストパフォーマンスが高い選択肢となりえます。都心の著名ブランドタワーに数千万円の上乗せを払いながら、一般住戸のエレベーター速度は湾岸中位物件と同等──というケースが実際に存在するのです。

次回は「EV 1基あたり住戸数ランキング」として、速度だけでなくエレベーターの「本数の余裕度」を比較します。さらにその次では速度×基数×戸数を組み合わせた「EV負荷指数ランキング」を試算し、真の快適性を数値化する予定です。エレベーターという切り口で、タワマン選びの新しい軸を提案していきます。

※データ出典:各物件公式販売資料および管理組合配布資料、東芝エレベーター株式会社 施工事例、フジテック株式会社 施工事例。速度は公開情報に基づく参考値であり、実際の設定と異なる場合があります。「未確認」の物件については情報提供を歓迎します。

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この記事を書いた人

2015年に新築で晴海のタワーマンションを5,500万円で購入し、2025年に1.4億円で売却(売却益+8,500万円)。現在は都内の中古タワマンに住み替え、資産性の高い物件選びと住宅ローン戦略を実践中。「住みながら資産を増やす」をテーマに、後悔しないタワマン購入術や、管理組合・修繕積立金の実情など、タワマン住人ならではのリアルな情報を発信しています。

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